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Keiichi's Blog

あるいはイザベラの心の底に

あるいはイザベラの心の底に、かねてハンベエが太子への返書をビリビリポイにした無作法への許しがたい怒りがあって、かかる作文を為さしめ、人を呪わば穴二つ、天罰覿面、喰らえ頂門の一針とばかりに、懲らしめの思いから筆が走ったものであろうか。それとも、人の心を操り弄ぶ、イザベラ一流の人の心理の裏の裏の裏々々・・・・・・まで見通した魔術なのであろうか。だがタンニルの復命後、ゴルゾーラ、ナーザレフ、タンニルの三人だけで持たれた会話は意外な方向に進展した。「これは内容から察するにハンベエからモスカに宛てらた恋文であるな。」噴飯ものの手紙に対し、ゴルゾーラの言い様は至って真面目であった。「そのようですね、太子。」「時期的には、アカサカ山でハンベエがフィルハンドラを討ち取った後にしたためられた物となるな。」「左様ですね。」「しかも、この内容だとハンベエとモスカは既に情を交わしている事になるが。」「真に。」試管嬰兒過程「ナーザレフ、このような事が有り得ると思うか。」「はて、私は神に仕える身なので、このような下劣な心情は計りかねますが・・・・・・。恋は思案の外とも申しますしな。」「思案の外か。しかし、伝え聞くハンベエという男の印象ではモスカ等と懇意になる事は間違っても有りそうに思えぬが。」内容的に見て太子やナーザレフ達がこの手紙を本物と思う可能性は一ミリも無さそうに思えるのだが、そうなればモスカ夫人の存命を匂わせて敵を撹乱する謀略もいっぺんに、ただの世迷い言であったかと水泡に帰する危険も大有りだと危惧される。「さて、どんな人間もその道ばかりは別とも聞き及んでます。ましてモスカ夫人は幾多の男を手玉に取ってきた妖婦。その道ではハンベエなど赤子も同然。強そうに見えても、人間には思いも寄らぬ弱点が有ったりしますからねえ。」ナーザレフは神官とも思えぬ下卑た笑いを浮かべていた。どういう心理なのだろうか。かねて魔の使いと呼んで敵視する男に対して、突如降って湧いた醜聞が、小気味良過ぎて嬉しさを隠せない様子なのだ。笑いが込み上げてどうしようもなくなっている。「私もその手紙が本物とは信じられぬ思いでしたが、逆にかかる信じがたい手紙をわざわざ偽造する意図も想像できないので、太子から戯れ言とお叱りを受けるやも知れぬと思いつつもお届けに上がった次第です。」タンニルは恐縮至極である「この手紙を見るに、一度は握り潰し、更に幾度も千切り破り捨てた後、思い直して貼り合わせた物に見えるな。」太子ゴルゾーラは手紙を手に取って思案顔に言った。この時、モスカの執事であったフーシエから届けられていた情報の中から、王女軍とステルポイジャン軍の対峙中、モスカがハンベエに対して異常な執着を見せていたという事柄が思い起こされていた。ゴルゾーラの頭の中を、憤怒の顔で手紙を握り潰し引き裂き、そして狂ったように拾い集めるモスカの姿が眼に映るように有り有りと流れていた「モスカにとっては、ハンベエとは愛憎共に深い存在なのかも知れないな。このような手紙を捨てもせずに持ち歩いているとは、捨てようとしても捨て得なかったのであろう。」と覚えず述懐するような言葉が漏れていた。「すると太子は、この手紙が本物であるとお思いになるのですか?」タンニルは少し驚き気味に言った。「モスカには力の狂信者のような一面が有った。強い者に餓えるあまりハンベエと申す者と結ばれようとも余は不思議とも思わん。・・・・・・が、我が方に何でも良いからハンベエの筆使いの判る文書は無いのか?」「ハンベエの書いたものですか。困った事に未だ何も手に入っていません。ゲッソリナに居る私の手の者もハンベエ直筆の物は手に入らないようです。ほとんど文書は口述して他の者に書かせるようですし・・・・・・。」 ハンベエの書き物として思い浮かぶ物はロキ宛のニコニコ通信、

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