こっそりと端に座ると、それを見付けた沖田が隣へやってきた。
「桜花さん、お隣良いですか」
桜花が頷いたのを見ると、沖田はその横に座る。
「何方へ行かれていたのですか。Botox香港 貴女の所へ逃げようとしたら居なくて…心配しましたよ」
沖田は近藤の面子を潰さないようにと、逃げ出したいのを必死に堪えて遊女の酌を受けていた。
だが、いよいよ我慢ならないと思い、近藤が酔った瞬間を見計らって桜花の元へ行こうとしたら既に居なかったという。
「…ええと、酔ってしまった気がしたので。お庭を見ていました。沖田先生、今日は酔っていらっしゃらないのですね」
先日はあれ程酔っていたのに、と桜花は沖田を見た。顔色一つも変えずに太夫達の舞を見ている。
「…そうですね。太夫さん達には悪いけど、あの人達のお酌では酔えません」
傾国の美女を前にそのような事を言えるのは沖田くらいだと桜花は驚いた。
沖田は肩を竦めると、悪戯っ子のような表情を浮かべる。
「貴女のお酌なら酔えるかも知れませんね。…頂けませんか」
そう言いながら、こっそりと端に座ると、それを見付けた沖田が隣へやってきた。
「桜花さん、お隣良いですか」
桜花が頷いたのを見ると、沖田はその横に座る。
「何方へ行かれていたのですか。貴女の所へ逃げようとしたら居なくて…心配しましたよ」
沖田は近藤の面子を潰さないようにと、逃げ出したいのを必死に堪えて遊女の酌を受けていた。
だが、いよいよ我慢ならないと思い、近藤が酔った瞬間を見計らって桜花の元へ行こうとしたら既に居なかったという。
「…ええと、酔ってしまった気がしたので。お庭を見ていました。沖田先生、今日は酔っていらっしゃらないのですね」
先日はあれ程酔っていたのに、と桜花は沖田を見た。顔色一つも変えずに太夫達の舞を見ている。
「…そうですね。太夫さん達には悪いけど、あの人達のお酌では酔えません」
傾国の美女を前にそのような事を言えるのは沖田くらいだと桜花は驚いた。
沖田は肩を竦めると、悪戯っ子のような表情を浮かべる。
「貴女のお酌なら酔えるかも知れませんね。…頂けませんか」
そう言いながら、を差し出した。もう既に酔っているのか、目元はほんのりと赤く染まっている。
それはどういう意味だろう、と困惑しながらもそれに傾ける。透明な酒がとくとくと注がれた。
沖田はそれを一気に飲み干す。
「贅沢ですね。一晩何両もする方の舞を見て、皆で高い酒を飲んで…。こんな事、江戸に居た頃だったら考えられなかったなァ…」
「沖田先生達が命を賭けて得たものですから。今晩位は贅沢しても、罰は当たりませんよ」
薄い笑みを浮かべてそう言うと、沖田も笑みを返した。
やがて舞が終わると、土方に耳打ちされた太夫は近藤の傍にいる太夫を除き、遊女を全員連れて下がっていく。
近藤は太夫に支えられながらふらふらと立ち上がると、咳払いを一つした。
「えー…。隊士諸君、楽しんでいるかね。此度の宴は池田屋騒動から始まり、先日の戦での功を労う目的で開くことにした」
よっ局長、と平隊士から声が上がる。
それに気分を良くしたのか、近藤は更に言葉を続けた。
「俺ァ、として、これからも尽力致します故ッ!」
そこへちゃっかりと、武田が便乗して誉めそやす。
「うむ!よろしく頼むよ、武田君ッ!」
武田の方へ身を乗り出そうとした近藤は、倒れ込みそうになった。それを土方が支え、太夫が腕を引く。
そして近藤の耳に唇を近付けた。
「近藤センセ…。随分酔っておいではるから…。あちらへ。お布団用意してますよって」
隊士には聞こえないように囁けば、近藤はみるみる赤い顔になり、促されるままに部屋を出て行く。
「あー…なんだ。今夜は無礼講だ。好きなだけ飲んでも良いが、各々明日の朝には屯所へ戻るように。特に巡察担当は遅れるんじゃねェぞ」
土方はそう言うと近藤の後を追った。
それは事実上の解散宣言である